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定常電流の保存則の破れ

電磁気学定常電流の保存則というのを習った.定常状態で成立する次のような定理だ.

任意の閉曲面Sについて,電流密度iが時間とともに変化しないとき,S内に含まれる電荷Qは変化しない.つまり,


\begin{align}
\frac{\partial i}{\partial t} = 0 \Rightarrow \frac{dQ}{dt} = 0
\end{align}

だと言っている.

しかし,これがどうして成り立つのか,よおく考えてみてもぼくには全く分からない.それどころか,考えているうちに反例を構成できてしまった.

図のようなRC回路を考えよう.ただし,コンデンサは極板面積がS,極板間距離がxの平行板コンデンサである.
f:id:pandaman64:20151030011625p:plain

電流をIとすれば,電荷保存則より,


\begin{align}
\frac{dQ}{dt} &= -I.
\end{align}

ここで,I=Constであるような状況を考えよう.すると,上の微分方程式を解くことで


\begin{align}
Q(t) &= Q_0 - It\quad\text{(但し,$Q_0 = Q(0)$)}.
\end{align}


もちろん,普通の状況ではIは変動する.ところが,極板間距離xを変化させることでIを固定することができる.平行板コンデンサ電荷Cと極板間の電位差Vには,


\begin{align}
V &= \frac{Qx}{\varepsilon_0 S}
\end{align}

の関係があるから,この回路についてキルヒホッフ第二法則より,


\begin{align}
V &= IR\\
\frac{Q(t)x(t)}{\varepsilon_0 S} &= IR
\end{align}

が成立する.この方程式にQ(t) = Q_0 - Itを代入することで,I=Constの条件下では,


\begin{align}
Q(t) &= Q_0 - It\\
x(t) &= \frac{\varepsilon_0 SIR}{Q-It}
\end{align}

となることが分かる.つまり,時間について反比例するように極板を引きはがしてやればいいってことだ.

ここで,コンデンサの極板をぴったり囲むような閉曲面を考えよう.閉曲面から流れ出す電流はIだから,時間によらず一定である.では,変位電流はどうか.コンデンサ間の電場はこの図で右向きで,大きさE


\begin{align}
E &= \frac{Q}{\varepsilon_0 S} \\
  &= \frac{Q_0 - It}{\varepsilon_0 S}
\end{align}

で与えられる.したがって,コンデンサから流れ出すような変位電流I_d


\begin{align}
I_d &= \varepsilon_0 S \frac{dE}{dt}\\
    &= -I.
\end{align}

したがって,変位電流も時間によらず一定である.これは,定常電流が流れていると考えていいだろう.ところが,この閉曲面内の電気量は当然変化している!(そうでなければ電流は流れない!)

まあ,このような状況はあんまり定常状態である気はしない(極板をべりべり剥がしているのだし).たぶん上の定理には他に何らかの条件が必要なのではないかなあ.(今教科書を読みなおしたら「導体中を定常電流が流れる場合」と書いてあるのを見つけた.でもこの例も導体内だよねえ)

誰か定常電流の保存則が成立する理由(もしくはきちんとした導出)を教えてください.