読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

導体で「定常電流の保存則」が成り立つ訳

「定常電流の保存則」*1は,以下の式で表されるような電流の性質である.


\mathrm{div}\,\boldsymbol{i} = 0

「定常電流の保存則」は,電場の定常性を仮定すれば,アンペール・マクスウェルの法則から導かれる.


\begin{align}
\mathrm{rot}\boldsymbol{B} &= \mu_0\boldsymbol{i}+\mu_0\varepsilon_0\frac{\partial \boldsymbol{E}}{\partial t}\\
\mathrm{div}(\mathrm{rot}\boldsymbol{B}) &= \mu_0\mathrm{div}\,\boldsymbol{i} + \mu_0\varepsilon_0\mathrm{div}\left(\frac{\partial \boldsymbol{E}}{\partial t}\right)
&\text{$\mathrm{div}(\mathrm{rot}\boldsymbol{B})=0$,$\frac{\partial \boldsymbol{E}}{\partial t}=0$から}\\
\mathrm{div}\,\boldsymbol{i} &= 0
\end{align}

導体とは,内部で常に\boldsymbol{E}=0が成立するような物体であるから,当然\frac{\partial \boldsymbol{E}}{\partial t}=0であり,「定常電流の保存則」が成立する.

この議論により,回路の大部分を為す導体では電流は非圧縮的と考えてもよいことが分かるが,そのほかの回路素子についてはまだ不明だ.だれか考えてください.

*1:「定常電流の保存則」は,定常電流についての性質でも無く,また保存則というよりは電流の非圧縮性とでも呼んだ方が良いが,「定常電流の保存則」という言葉が広く使われているので,本稿もそれに従う.